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残置物の処理について

永吉先生

お世話になります。

次の事例の残置物の処理について、解決方法を教えてください。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

【前提】

先代の未分割の土地にある被相続人(父)の家屋に後妻(子どもなし)が1人で住んでいた。

昨年、後妻は死亡した。

後妻は、死亡後、家屋を明け渡すことに承諾していた。

現在、家屋には誰も住んでいない。

家屋は兄が相続したが、兄も昨年末に死亡した。

家屋は、弟が相続している。

家屋には、後妻の家財道具が残っている。

残置物は、家財道具のみである。

後妻の親族は、家屋の玄関のカギを取り換えており、建物に入ることができない。

後妻の親族に残置物の処理を依頼したが、返答がない。

家屋は、田舎の山奥の建物なので、残置物処理後、取り壊す予定である。

【質問】

上記前提の残置物を処理するには、次の選択でよろしいでしょうか?

(1)自力救済

弟が後妻の親族に、一定期間内に残置物を処分することを要求し、

要求に応じない場合、建物に侵入し、残置物を処分する。

(2)建物明渡訴訟

①残置物処理までの手順

弟が、建物のカギを取り換える。

弟は、建物に侵入し、残置物の写真をとる。

建物明渡訴訟で勝訴判決をとり、残置物を競売、落札し、処分する。

②建物明渡訴訟を提訴する方法

訴訟を提訴する具体的な方法を教えてください。

【私見】

残置物を自力救済すると、将来、損害賠償されるおそれがあるので、建物明渡訴訟後、残置物を処理する。

【参考】

借家契約における賃貸人の自力救済行為と不法行為責任
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/16-56/034wada.pdf

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 前提

>先代の未分割の土地にある被相続人(父)の家屋に後妻(子どもなし)が
>1人で住んでいた。

>家屋は兄が相続したが、兄も昨年末に死亡した。
>家屋は、弟が相続している。

ご質問の「父」、「後妻」、「兄」、「弟」及び「後妻の親族」

の関係性かがわかりかねましたが、
以下でよろしいでしょうか。その前提で回答します。

○父の先妻との子がおり、その子である兄弟を「兄」及び「弟」と表現している。

○「後妻の親族」とは、後妻の相続人である。

1 ご質問①〜残置物の処理方法

>上記前提の残置物を処理するには、次の選択でよろしいでしょうか?
>(1)自力救済
>弟が後妻の親族に、一定期間内に残置物を処分することを要求し、
>要求に応じない場合、建物に侵入し、残置物を処分する。

>(2)建物明渡訴訟
>①残置物処理までの手順
>弟が、建物のカギを取り換える。
>弟は、建物に侵入し、残置物の写真をとる。
>建物明渡訴訟で勝訴判決をとり、残置物を競売、落札し、処分する。

>【私見】
>残置物を自力救済すると、将来、損害賠償されるおそれがあるので、
>建物明渡訴訟後、残置物を処理する。

ご指摘のとおり、
後妻の残置物の所有者が後妻の相続人である親族
であるため、勝手に残置物を処理してしまうと
法律上禁止されている自力救済にあたり、
損害賠償等のおそれ自体はあります。

法的に正式な方法としては、最終的には
裁判により、建物明渡請求をすることとなります。

なお、この場合、鍵の取替え自体も
自力救済にあたる可能性が高いので、
訴訟提起をする場合、鍵の取り替えを
する前に訴訟提起することになります。

2 ご質問②〜訴訟を提起する方法

>②建物明渡訴訟を提訴する方法
>訴訟を提訴する具体的な方法を教えてください。

訴状を作成し、
基本的には当該家屋の所在地を管轄する裁判所に
訴訟を提起するという流れになります。

ご本人様でやられるということだと、
以下のサイトの書式(記載例含む)を利用して、
https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_minzisosyou/index.html

訴状を作成し、提出することとなるのが一般的です。

その訴状の提出をすると、裁判所書記官から
色々と指摘があると思いますので、それに応じて
修正していくということとなります。

弁護士であれば、難しいものではないのですが、
不動産の特定方法等や細かい部分が多いので、
本人様にはかなり煩雑にはなります。

また、今回、最終的には、
執行手続き(訴訟とは別手続きになります)
を行うことになりますが、こちらも本人様で行うことはなかなか大変です。

弁護士費用がかかってしますという点をどのように捉えるのか
ということとの兼ね合いですが、

対象不動産の近くに事務所がある弁護士に依頼する
というのも1つであるように思います。

よろしくお願い申し上げます。