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労働者の自己責任の追及について

●●と申します。
宜しくお願いします。

前提

業務上のルール違反決め事を守らない社員(上司)が居るそうです。
細かな業務面なので、マニュアルやルールを決めているようですが、
面倒だとか、気分が乗らないとかで、ルール化していることを省略したり、
敢えてやらないことが多々あるそうです。

部下の社員達から、業務は統一されないし、業務の混乱もあり、困ってるとクレームが
多く、罰則なども考えているそうですが。
労働者の多数の総意があるので、ルールを守らない人に対し、何かそのことで
問題があった場合には、その人(連帯保証人とともに)が責任を取ることにして
良いのでは無いか。と労働者側から提案や意見が多いそうです。

質問

このような制度を規定化明記して 実行することは可能でしょうか?

逆にこの制度化をしたことによる、会社側のリスクなどもあれば知りたいそうです。

ご教示戴けると幸いです。よろしくお願いします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>このような制度を規定化明記して 実行することは可能でしょうか?
>逆にこの制度化をしたことによる、会社側のリスクなどもあれば知りたいそうです。

2 回答

>労働者の多数の総意がある

ということ自体は、使用者と労働者の関係を規律する
労働基準法などの規制などを緩和できる理由にはなりません。

ですので、仮に制度を明記しても、
労働基準法に反する給与の減額、解雇、罰則の設定
などができるわけではありません。

もちろん、就業規則上の懲戒事由として、
懲戒処分をして給与の減額をする際にも、
合理性・相当性が必要とされますが、

労働者の多数の意見が証拠としてあれば、合理性や相当性を
基礎付ける証拠の1つにはなります。

結局のところ、労働基準法に抵触しないように、
会社としては、改善の機会を与えて、それでも改善が見られず、
止むを得ずした減給処分として適法性を基礎付ける
ための行為をしなくてよくなるわけでは
ないため、制度化しても、法的には現状と変わることはないと考えられます。
(どこまで何をすれば、どの程度の処分をしても良いのかは、
個別事情によりますので、割愛します。)

メリットがあるとすると、そのような規定を
おいておくと減給に納得しやすくなる可能性は
あるという程度かと思います。
(それでも、一方的な減給等を違法に行えば違法です。)

>逆にこの制度化をしたことによる、会社側のリスクなどもあれば知りたいそうです。

制度化しても、上記のとおり、

>労働者の多数の総意がある

だけで、処分をすることはできませんので、
逆に他の労働者からの不満が強くなるのでは
ないかと考えられます。
(制度があるのに実行しない経営陣という印象を
もたれる)

つまるところ、現状の労働基準法の下では、
従前とおり、経営陣が、指導・命令等を行い続け、
改善の機会を与え、それでも応じない場合には、
懲戒処分等を視野にいれるという
対応をする他ないように思いますので、

制度化する意味はあまりないと考えられます。

もちろん、懲戒処分等について、そもそも就業規則で
定めていないということであれば、話は別ですが、
そこは、一般論としての就業規則の制定・導入の
問題となります。

よろしくお願い申し上げます。